老後資金の準備が必要な3つの理由
数年前、老後2,000万円問題が大きな注目を集めました。「老後は年金収入だけで生活をするもの」当時、そう考えていた私も大変大きな衝撃を受けました。
結論、人によって貰える年金額は違いますし、生活費も違うので「2,000万円」という額はあまりアテになりません。
しかし、ほとんどの人にとって老後資金の準備は必要であり、早い段階から準備していく必要があると考えています。
今回はそう思う理由3つと対策について解説します。
年金額は今後さらに減っていく
公的年金は現役世代が保険料を負担することで、現在の高齢者世代の年金給付に必要な費用を補っています。
自分が支払っている年金が、将来自分に戻ってくるわけではありません。
今後私達の年金がどうなっていくかは、厚生労働省が5年ごとに実施する「年金財政検証」を見ていくことで分かります。
そして政府は今後年金額を下げていくということを、「所得代替率」という言葉を用いて示してします。
所得代替率とは、現役世代の収入と年金収入の割合のことで、現役の時と比べてどのくらいの年金収入があるかをさします。
現在(2019年の財政検証)の所得代替率の水準は61.7%となっています。
今後、比較的順調に経済成長が進んだとしても、2040年頃には所得代替率は50%前半になると見込まれています。
政府は将来に渡り所得代替率50%を確保するとしていますが、その為には年金受給開始年齢の引き上げや、年金払込期間の延長など(改悪すること)が必須となるでしょう。
残念ながら少子高齢化が進む以上、ほぼ間違えなく私達の年金額は減っていき、公的年金という制度は今より改悪されていくということを考えておかなければなりません。
お金の価値は下がっていく
経済が成長するためには、需要(買いたい人)が供給(売りたい人)を上回る必要があります。
そしてこの状態では物価高(インフレ)となり、それはイコール「お金の価値が下がる」ことを意味します。
いき過ぎたインフレは、政府の金融政策によって一時的に抑制されますが、私達がこの国で生きていくためには経済を成長させていかなければなりません。
つまり長期で考えた場合、適度なインフレはしていかなければならないものなのです。
仮に毎年の物価上昇率を0.5%とした場合、今の100万円のお金の価値は、約40年後75万円程の価値しかありません。
もちろん、良いインフレ化では同時に賃金も上がっていくので悪いことではありません。
同じように年金額も物価や賃金の変動に応じて決まります。
しかし「マクロ経済スライド」といわれる仕組みによって、物価や賃金の上昇分がそのまま反映されるわけではなく、減額調整されてしまいます。
将来貰える年金額は減る上に、物価の高い社会が待ち受けている可能性が高いことに備えておく必要があります。
退職金は減少傾向にある
ひと昔前までは、公的年金と定年退職時の退職金があれば、余裕な老後生活を迎えられるというパターンの人は多かったと思います。
しかし退職金の平均額は、ここ20年で約1,000万円程減少しています。
これは企業が「年功序列」から「成果主義」へと変わっていっていることが背景にあると言われています。
そして少子高齢化社会の中で、今後この「成果主義」はさらに進んでいくと予想されています。
また、自身の退職金について金額や給付形態などを把握していない人は半数を超えるというデータもあります。
退職金=「なんとなく貰えるもの」という認識で、老後資金や住宅ローン返済のあてにしようとするのは危険です。
まとめ
冒頭述べたように老後資金がいくら必要かは人によって異なります。
少子高齢化、インフレ、人生100年時代・・・
こんな中、漠然とした不安を抱えながら過ごすことが、一番の不安となってしまうのではないでしょうか?
まず一度ライフプランのシュミレーションをしてみることをオススメします。
その上でiDeCoやNISAといった税制優遇制度を利用して、有意義な資産形成をしていくことがベストだと考えています。
まず現状(現実)を知ることが、あなたの理想の人生に近づける為の第一歩です。